脚本

 三年とうげ                           リクムオギ作
 登場人物
 ・おじいさん1,2
 ・おばあさん1,2
 ・トルトリ 1,2
 ・ナムスン 1,2
 ・トッケビ 1,2
 ・医者 
 ・カラス  1,2
 ・村人   
 ・若い衆  
 ・ナレーター(はじめの言葉、終わりの言葉含む) 1,2,3,4

プロローグ
1場  起   3年とうげの話し 平和な村 トルトリとナムスン  おじいさんの出発
2場  承 おじいさんが転んだ
3場  転 病気 ナムスンの心配 トルトリの案
4場  結  おじいさんの回復  トルトリとナムスン


ナレーター1:三年とうげって知ってるかい?
       2:さあ、知らないな。
       3:何だろう、その三年生とうげって?
       4:ぼくたち三年生の とうげなのかい?
       1:ちがう、ちがう。むかし、朝鮮という国にあったとうげで、そこでころぶと三年しか生きられないんだ。     
       2:こわい とうげだね。
       3:じゃあ、トッケビって知ってるかい?
       4:知らない! ナレーター:4人
       3:トッケビは、朝鮮のいたずらこぞう!
       1:なんか関係がありそうだな。
       2:おもしろそう!
       4:それでは、三年とうげ、はじまり はじまりー

   幕があき 歌:「三年とうげはよいながめ」          バック とうげの絵
         手前にチャンスン
プロローグ
村人 1:ああ、いいながめだ。
   2:あれが かえで これがぬるでの葉。
   3:これが がまずみ  あれが がまがえる。 村人:4人
   4:くだらないこと言ってないで さあ行くぞ!

   1:三年とうげは、ほんとは、こわいとうげだからな。
   2:そうだよ、ころんだら三年しか生きられない。
   3:おまけにトッケビも出てくるしな。
   4:昼のうちにこえないと、さあ 行くか!

村人ゆっくり歩いて去る (ほかの 村人も通る)

        歌:「ころぶでないぞ」 (村人、ころぶまねをする)

第1場 平和な村

おじいさん:ナムスン、こんどのおみやげ何がいいかのう?
ナムスン:私は、かみかざりがいいわ。
おじいさん:そうか よしわかった。 … そうして おばあさんは どうじゃ?
おばあさん:私にも 買ってきてくださるのですか?
おじいさん:まあ そうじゃ。
おばあさん:それでは、私は えーと えーと はらまきがいいわ!
(二人 ぐたっとする)
おじいさん:よしよし わかった わかった。(にもつをしょう)

そこにトルトリ登場

トルトリ:アンニョンハセヨ!
みんな:アンニョンハセヨ!
トルトリ:みなさんお元気ですか? おや おじいさんどちらへ?
おじいさん:うむ、町へ反物を売りに行くのじゃ。
トルトリ:それは、それは。気をつけて行ってくださいね。
おじいさん:おう わかっている。 それでは おばあさん、ナムスン行ってくるからな。
おばあさん、ナムスン:はい いってらっしゃい!
みんな:いってらっしゃい!

おじいさん 出かけて行く(おばあさん、見送りについて行く)
おじいさん@
ナムスンとトルトリ スポットあてる おばあさん@
ナムスン:町ってにぎやかなんでしょうね。 ナムスン@
トルトリ:町へ行ったことないの? トルトリ@
ナムスン:えー だってこわいですもの。
トルトリ:三年とうげがかい?
ナムスン:えー 私 しんぱいだわ。 おじいさんのこと。
トルトリ:だいじょうぶだよ。
ナムスン:もし おじいさんが 三年とうげでころんだら どうしよう。
トルトリ:まかせておき。 その時は、きっと 私が、助けてあげるよ。
ナムスン:ほんと きっとよ!
トルトリ:あー わかったよ。

おばあさん:さあ さあ お二人さん 何をしているのかね。せんたくをかたづけてしまうよ。
 今日は、もうすぐ村祭りだよ。 いっしょに行っておいで。

二人:はーい!

       歌:「とりいれすんだ」

村まつりのようす
  ・さらまわしの村人たち (5人)
  ・なわとびの村人たち (5人)
  ・おどりの村人たち (5人)


トルトリとナムスン横で見ている。おばあさんもやってくる。


第2場 おじいさんが ころんだ
        歌:「白いすすすきの」

おじいさん:やれやれ 今日は反物がぜんぶ売れた。 まごのナムスンのかみかざりも買ったし、
       おばあさんの はらまきも買った。
       さて あの三年とうげをこえて帰るとするか。

   (おじいさん、つえをついて歩く。 そこにトッケビたち登場)
おじいさんA
トッケビ1:はらまきだって! どんなものか見てみたいね。
     2:わたしは、かみかざりを 見てみたいわ。 トッケビ4人
     3:ようし それでは、後をつけるとするか!  カラス 2人
     4:気づかれないようにね。そーっと。

  (おじいさんの 後をつける。)

おじいさん:頂上だ! 村がよく見えるぞ。いいながめじゃのう。 ここいらで いっぷくするか!
     
      (こしをおろしてキセルをすう。トッケビ、かげから見ている。)

カラス1:カアー  カアー  日がくれるぞ!
2:カアー カアー 足下が見えなくなるぞ! 
3:トッケビが いるぞ
   4:おじいさん、気をつけて!
      
      (トッケビ カラスを追い払う。)

歌:「お日様が西に」
おじいさん:さて 帰るとするか。 ながいをしてしまった。(立ちあがる) 
    (歩きはじめてすぐトッケビがあらわれる。)
 
トッケビ:もし もし (後ろから)
    (おじいさんふり返って)
おじいさん:うわっー (おどろいて 前へ走る)
    (トッケビが通せんぼして、おじいさんは、ステージ下に下りて 前まわりをする)
おじいさん:うわーっ!   

カラス1:こらー おじいさんを いじめるな! カアー カアー
   2:やっつけてやるぞ! カアー カアー
(カラスかかっていき トッケビたち、にげていく。)
とっけび 1:いてててて!
     2:わかった わかったよ。
     3:こりゃ、だめだー
     4:みんな、にげよう!
(舞台の前に来て) 
おじいさん:わしは、わしは、ころんでしまった。 後三年しか生きられぬ。 アイゴー!
(暗転)
      歌:「たいへんだよ」 (おどり)

第3場 おじいさんの病気

 (おじいさん、ふとんの中でねている。 おばあさん、ナムスン横でかんびょうしてる。)

おばあさん:おじいさん、お医者さんがきましたよ。
おじいさん:あー
お医者:おじいさん、ぐあいは、いかがですか?
おじいさん:だめじゃ
(お医者 こまったように)
お医者:今日は、とくせいのキムチを持ってきましたよ。 ほれ。
おじいさん:どうも、ありがとうございます。 しかし、キムチでも だめみたいだ。
お医者:そう言わずに、食べてくださいよ。

 (そこに トルトリがあらわれる。気づいたナムスンが、むかえに行く。)

ナムスン:トルトリ! おじいさんB
トルトリ:うん。  おばあさんA
ナムスン:おじいさんを助けて ちょうだい。 医者
トルトリ:私に、まかせておいて。 ナムスンA
ナムスン:さあ、はやく。 トルトリA

トルトリ:みなさん、アンニョンハセヨ。
おばあさん、医者:アンニョンハセヨ。
トルトリ:おじいさん、おいらの言うとおりにすれば、おじいさんの病気はきっとなおるよ。
おじいさん:どうすれば なおるんじゃ?
トルトリ:なおるとも 三年とうげで もう一度 ころぶんだよ。
おじいさん:ばかな! わしに もっと早く死ねというのか。
トルトリ:そうじゃ ないんだよ。 一度転ぶと三年生きるだろ。二度転べば六年、三度転べば九年、
     このように、何度も転べば、ううんと長生きできるはずだよ。

ナムスン:そうだね! そのとおりだわ!
おばあさん:どうします おじいさん?
おじいさん:だいじょうぶ だろうか?
おばあさん:やって みましょうよ!
おじいさん:ゆびをおりながら
     三一が三 三二が六 三三が九 三四、十三
ナムスン:ちがうでしょう!
おじいさん:あっ!三四、十二 …十回ころべば、三十年か!ようし、もう一度三年とうげへ行ってみよう!

第4場  三年とうげ
(おじいさん、おばあさん、ナムスンでやってくる。)

おじいさん:おや? おじいさんC
おばあさん:どうしました? おばあさんB
おじいさん:歌が聞こえる。 ナムスンB
ナムスン:本当だ! トルトリB

トルトリ:歌「えいやらえいやら」

おじいさん:えいやら えいやら えいやらや
おばあさん:一ぺんころべば三年で
ナムスン:十ぺん転べば三十年
おじいさん:百ぺん転べば三百年
三人:こけて ころんで ひざついて しりもちついて でんぐり返り
   長生きするとは こりゃ めでたい えいやら えいやら えいやらや

おばあさん:さあさあ おじいさん!
ナムスン:ころんでみて!
おじいさん:ああ わしは、いやじゃ こわいよう。
おばあさん:おじいさん 何を 言ってるんですか。 ころべば ころぶほど 長生きできるんですよ!
ナムスン:そうよ おじいちゃん がんばって!
おじいさん:ようし! やってみるか。 そうれ一 二の三! (前まわりをする)
    (二人は、拍手をする)
おじいさん:なんだか 気分がよくなってきた。
ナムスン:ほんと! じゃあ もう一回!
おじいさん: 一 二の三 (前まわりをする) ん? 耳までよく聞こえるようになったわい。
ナムスン:よかった よかった。 
      (ナムスン、トルトリをつれてくる。)
トルトリ:おじいさん、よかったね!
おじいさん:うん よかった。よかった。トルトリ、ありがとう。
トルトリ:さあ おじいさん、もう一回!

おじいさん: 一 二の三 (前まわりをする) こしまでピンとしたわ。
      そうじゃ、おばあさんも ころんでみなさい。
トルトリ:おばあさんも どうぞ。
ナムスン:そうよ そうよ。
おばあさん:わたしもですか? はずかしいわ。
ナムスン:ころんで みて、おばあちゃん!
おばあさん:はいはい わかりました。 それでは、 一 二の三 (前まわりをする)
おじいさん:どうじゃ?
おばあさん:おじいさん! なんだか 気分がよくなってきましたよ。


(そこにトッケビ 登場)
トットケッビ1:これは、たいへんだ
2:三年とうげで なくなるぞ
3:わしら どこかに行かなくては
4:いや、いや。もう いたずらをやめよう。

おじいさん:わっはっはっはっ! よかった よかった。そうじゃ、おーい、お医者さん!村人のみんな!
      三年とうげで、ころんでごらんよ 元気になるぞー!

 (医者、村人たちステージ下で 前まわりする。カラス、カーカー鳴いて飛び回る。
  トッケビも出てきて いっしょに前まわりをする。)

おじいさん:これで もう わしの病気は、なおった。百年も二百年も長生きできるわい。
      わっはっはっはっ…

ナレーター1:こうして おじいさんは、すっかり元気になって
     2:おばあさんと 二人 長生きしました。
     3:それから 三年とうげを こえる時は
     4:トッケビたちも いたずらをやめ
     1:もう だれも おそろしくない
     2:みんな 元気に大声あげて
     3:歌いながら 通っていきました。
     4:めでたし めでたし。

全員 うた:「三年とうげは よいながめ」