Kくんのこと 第1期 危機 |
1年生の時 |
1学期 |
4月の終わり〜5月の最初 @ピカチュウの折り紙 出来ないといって折り紙をくちゃくちゃにする。 Asimoに赤ちゃんみたいと言われsimoをたたく。 B給食の時 パンをちぎってカップのシチュウにつけて食べていた。そういうふう に食べないように私が言う。yosiがそれを見ていて笑った。その笑ったこと に腹をたててyosiをたたく。 6月 Cyaが通りすがりに筆入れをしまうように注意する。注意されたことにたいして yaをたたく。 D図書室から借りてきた本を返す時借りた本がなかった。一冊でてきたがちがうと 言って本を投げる。 E参観日の時あててほしくて大きな声を出す。 F借りた本を廊下にわすれて帰る。泣き叫びながらもどってきてさがしまわる。 栄養士さんにさがしてもらう。 G体育の時ジャンケンおにごっこをしていた。最後に負けたのでくやしくて教室に 走って帰る。またもどってきて誰とは無く近くにいた子をたたく。 H紙ヒコーキづくりもうまくできないといって紙をぐちゃぐちゃにする。 I2組の友だちが用事があって帰ろうとするが必死になって止める。泣き叫ぶ。 そうじ当番だったが帰す。次の日 掃除当番をさせる。 7月 J私が定期検診で教室をあけた時T教諭が教室に入る。 リーダーさがしをしてリーダーになりたいと言う。siにばかにされてsiをた たく。T教諭きびしく注意する。 K大そうじの時床ふきをしていて ころんだところにmuがいてそのせいだとして muをたたく。二人 別の部屋に呼び注意する。 2学期 8月〜9月 Lプール学習の時 着替えで自分のパンツがないといってさわぐ。見つかるまで更 衣室から動かないと言う。母親に電話をしてパンツを持ってきてもらう。後で男子 に調べてもらうとsiの所からでてきた。siのパンツと似ていた。siは知らな いと言う。 Mあさがおの種を取りに行った時、種を落としてさわぐ。さがしてあげるとおちつ く。 Nメガネの鼻あての所がこわれてなおそうとイライラする。私になおせと言う。 無理だったのでメガネ屋さんに行くように指示するとお母さんは直したと言う。 O体育の時けんだまとコマをする。けんだまがうまく乗らないとしてふりまわして 近くにいたtaにあてる。コマでは、ひもがうまくまけないとして私がまいてあ げる。 P体育で自由時間 バスケットゴールにボールが入らないとイライラする。 友だちにやつあたりしかける Q帰る時 帽子を取る時asに押されたとしてasをなぐる。as 泣く。 二人 別の部屋に呼び訳を聞き注意する。その後の帰り道asもっと弱い子を いじめる。 R算数の練習問題の時タイルを使わないとしてがんばる。問題の数が多いと言って イライラする。結局1番にできる。 S遠足の作文を書けないと言っていらつく。 *上靴の裏についたゴミを気にして鉛筆でとることにこっている。 *休み時間は、一人でぶらぶらしている。 10月 〓なわとびの輪をうまくつくれないとして、いらついてなわとび(自分の)投げて こわす。 *けしゴムのかすを集めるのに こっている。 11月 〓給食のおかわりが なくなると言ってわめく。 〓ノリのふたがないと言って大声を出してイラつく。 〓机からいろいろな物を落として拾わない。注意すると、〜したら拾ってもいいと 言う。 12月 〓算数でジャンケンじんとりゲームをする。ooとやるが、負ける。おこってoo の顔面を2,3発なぐる。 翌日から風邪でoo休む。なぐったせいでないかと 思っている。(ooとは、このころ仲良く、家に遊びに行っていた。) 〓終業式の登校中siに押されころぶ。かっとなってsiをなぐる。6年のFが止 める。 3学期 1月 〓プリント出したのに机の中にあると思いこんでないないとさわぐ。あると言って 私が目の前に見せても認めない。 〓はじめてのスキー学習。スキーが、はずれたり、ころんだりで思うようにすべれ ない。自分がころんだことで、ooにころぶように願う。ooじょうずにすべっ たので腹をたて執拗にooを追う。自分が順番をぬかされたことにより、泣きわ めくもはなはだしい。給食準備中 腹がおさまらず たまたまいたsaの顔面を なぐる。 (とびばこで手から落ちて小指を骨折する) 2月 〓図書委員会のオリテーリングの紙がもどってこないと怒る。 〓とびばこが、とべなくて、それを見ていたyoshiが笑ったとして、かかって いく。 3月 音楽の教科書がないと言ってさわぐ。携帯電話で母親にTel。母親に自分の部 屋にあることを確認してやっと納得する。 *ハンカチでピストルをつくって、打つまねをするのに こっている。 2年生の時 4月〜6月 @かばんから物が落ちる。saが笑ったのでなぐろうとする。私が真ん中に入った のでなぐるのをやめる。 A朝会時 常にフラフラしている。座り方悪い。体育の整列時 常にフラフラして いる。学習時の態度、姿勢が悪い。 Bカタキをしていて僕だけねらわれるとして石を投げる。 Cサッカーをしていて顔面に当たったとして石を投げる。 (このころから休み時間 集団の遊びに加わるが、うまくいかなかった。) 教室にもどってきておもしろくなくsaをなぐる。 D内科検診で廊下で待っている時 貼ってある写真をsaが見て「kが泣いている ようだ」と言ったので腹を立て、saに体当たりする。saの耳が壁に当たる。 E廊下を歩いている時saの手が当たったとして どんとつき倒す。背中が帽子か けにあたる。昼休み体育館で遊んでsaを追いかけ、首の所をかっちゃく。爪痕 がsaの首に赤くつく。 (このころsaとのいざこざが多い。saもkに興味を持っているのが原因) F運動会の練習で2組のiに遅いと言われ、ぐるっと走り回ってからiの顔面をな ぐる。 G帰る時、温室の中を見ていて2組のaにどけと言われ、傘をふりまわしてかかっ ていく。 (このころ2組とのいざこざが多い。2組にも知り合いがいる。) H算数の問題で黒板に出てやり、説明するのを私から問題のまちがいを指摘される と説明しないで さっさと席にもどる。 I交通指導の時間、係の方のクイズで当ててほしくて、わめきたてる。 J国語の時間、一人読みで早口でお経のように読む。そんな読み方しないように注 意すると皆が笑う。「わらうな」と大声で叫ぶ。 7月 K読書の時間、「女の子」の本を興味深く読んでいる。「抱き合うだけで赤ちゃん は生まれないんだ!」と感心したように言う。 L私の言ったことに対して「〜ねえよ」とか言う。誰に対して言ったのかを確認す る。 ことへの執着。バカにされることへの激しい怒り。不器用。学習に対してできな いことへのイラだち。思うように動かない体。強情さ。一つのことに対する執着 心。幼稚さ。母親に対する愛情の強さ。など傾向として見られる。 *広義のLD.と見てよいであろう。 そうなると対策は、見えてくる。 *両親とも数回 面談し、何かあった時は、電話で連絡をとるようにした。 2年の1学期でこの報告は、終わる。対策に重きをおきたいからである。 *またkだけではないことも見えてくる。 u,o,shi,ta,kon,ta,na,ma,yaなど ざっと10人ぐらいその要素はあることを見ていてもよさそうだ。 2年3学期 スキー授業は、かなり苦手である。スキーウェアを着ること。スキー靴をはいて スキーをはくことなどの最初から時間がかかり いらつくのである。待ってあげ なければならない。スキーをしまうのも自分勝手にやってうまくできなく、いら つく。しめたり、チャックをしたりなど手が思うように動かない。 1月27日(月) 先にスキー山に行った子が、1回多くすべったことに対して怒り、強引にすべる 。他の子と同じようにしないと気がすまない。 30日(金) 河畔公園の山も順番を待っていられなく わめきちらす。やさしい斜面でころび、 もう一回すべりたいと思う。Sは、4回すべったと思い込み強引にすべる。順番を 待つということが苦手。 2月4日(火) 席かえをする。中休みスキー山であそぶ。Iに後ろ押してくれと頼んだかIが、押 してくれなかったので、Iを追いかける。Iは、逃げる。教室に来て、Iを殴りか かろうとしたので止めに入る。隣り部屋に連れていき話し合う。相手が逃げたとい うことに対してプライドが傷ついたのだ。 7日(金) 母親に来てもらい、話し合う。LDのことを話す。 昨年のNHKのテレビを見て「あれは僕と同じだ。」と言った。 13日(木) 昼休み Tにちょっかいされたことに対して怒り、顔つき変えて廊下をさがしまわ る。これは、まずいと思いKにはりつく。運よくTを見つけ3人で話をする。Tか らちょっかいをかけたことがわかり、Kに謝まらす。しかし十分反撃もしているの だ。何か身体的にされると恐怖感を持つ。いわゆる臆病なのである。 14日(金) つるすかざりの工作できなく、いらつく結局4枚使う。自分一人でやりたがるので やらせてもできない。これは、Kには、無理と判断。 体育のドッジボールも勝ち負けに非常にこだわる。みんなもKをねらわなくなる。 ドッジボールもそろそろやめか。おにごっこは、うまくできる。 3月に入り、父親とも今後のことで話し合う。 N子のこと 1年3学期 前の学校の担任よりスキーの袋 他の子の名前でないか確認してほしいと電話くる 。親が 変わっているという情報。 @yoshiの家に遊びに行くが自分の家がわからないと言って帰らない。yの母 親から電話くる。一緒につきそってもらって帰る。 Akoの家に行く。帰り道がわからないと言って帰らない。電話くる。そのうちい なくなる。無事帰ったもよう。koの物をとる。Nさんとったでしょうと追及す るが否定する。 2年 1学期 Bshimoと遊んでいて服をぬらす。家の人が、服をかしてあげるが、なかなか 返さない。私が電話をしてやっと返す。(5月) C家に入れないと言ってshimoの家に来る。sの親から電話が来る。私が電話 をして居場所を教える。Nの親 迎えに行く。(5月) D家に入れなくて公園で一人で遊ぶ。それを見ていた2組の親が家に入れ、Nの家 まで送る。(6月) 2学期 9月より児童会館の学童 無断欠席増える。学校帰りにランドセルを家において、 友だちと遊ぶ。このころより新聞配達の手伝いをしている。 Eshimoと遊んで服をよごす。向かいの家から服をかりる。まだ返していない F学童休んで、友だちの家で遊ぶ。家に入れなく学校にやってくる。校長と話す。 家に電話して親に来てもらう。(9/24) 26日遅刻。 10月より遅刻増える。10/4,5,8,9,10 遅刻。朝食食べていない。毎日 新聞配達。 10/11(金)19:00 〜 :20 家庭訪問でこれまでのことを確認する。母親と内縁の夫。 ・新聞配達は、子どもがやりたいと言って足をばたばたさせる。夜中なのでまわ りに迷惑をかけるので連れて行く。土曜、日曜しかやらせていない。 ・学校に間に合うように家から出している。朝食は、出している。 最近 遅刻しているなんて初耳だ。どちらを信じるかだ。虐待はしていない。 ・かぎは、持たせていない。持たせたら子どものたまり場になってたいへんだ。 ・服をかりたことも知らない。 10月13日(日) 朝8時に元の父親が迎えに行く。場所がわからないように目隠しをさせる。通常 は西友の隣のマクドナルドの所が待ち合わせ場所。3人で遊んでから夜の7時に 送り返すが、Nが泣いて帰らない。 母親は、2階からおいでおいでをするが、帰りたがらない。 父親が、車を発進させるが、追いかけて公園の所まで来る。 父親は、いったん自宅に帰ったが気になったので もう一度見に行く。 夜の10時半 まだNが、公園にいた。様子を見ていたが思いあまって声をかける そして連れて帰る。 14日(月) 昼の2時に家に送り返す。姉が、カギのある場所を見つけ、中に入れる。 一人でいたが、さびしくて また父親の所に行きたくなる。 タクシーをひろって乗るが、住所がわからない。藻岩山の見える所と言ったり。 南11条と言ったりして運転手も困る。 3時半ごろ私の家にハイヤーから電話くる。「まゆみ ちゃんが住所が わから なくて困っている」ということだった。すぐNだとわかる。偽名を使う。 運転手は、学校名と組を聞き出し、学校に電話して、私の電話番号を知った。 私の所に来てもらい。母親と父親に電話してそれぞれ事情を話す。 Nを家までとどけ、カギをかけらせ、留守番しているように説得する。 タクシー代 1480円。Nが持っていたお金は、100 円もなかった。 翌日、時間まで登校していた。新聞配達は、休刊日。昨夜 親が帰って来たのは 8時ごろ。Nは、寝ていて、夕食と朝食 食べていないと言う。 そのわりには、しっかりしていた。父親の所で 食べてきたようだ。 給食も大盛りにするが、結局 残していた。元来少食の方ではある。(そうなっ た)睡眠をとったせいか、父親の所で休んだせいか、落ち着いていた。 放課後 母親が 給食費とタクシー代を持って学校に来る。 私に父親とコンタクトをとるのをやめるように言ってきた。 連絡は、母親にしぼることを確認する。 その後 新聞配達の手伝いは、毎日から土、日になり、朝食も時々は、食べてくるように なる。遅刻も減ってきた。 G10月下旬、前日夕食を母親が用意したが、おなかがいっぱいで食べなかったので 手の甲を母親に ひっかかれる。朝食 食べてこない。学校として牛乳を飲ます H11月1日 児童会館から18時ごろ家にかえったが、鍵が、かかっていて家の中に 入れない。児童会館にもどる。指導員が携帯をかけても一向につながらない。 20時ごろ連絡がとれ、迎えにきてもらう。 I11月初旬 児童会館からの帰りが遅いことに対して母親が携帯電話を投げる。 おでこに当たる。やや傷がある。 J11/8 児童会館からの帰りに3年の子とサンクスに寄って お菓子をもらった。 そのことに対して母親 携帯を投げる。 K11/10 学習発表会 風邪により欠席する。 N対策 ・基本的に母親の問題である。母親をどのようにみて、どう対応するかである。 母親は、普通ではない。被害者意識が大きい。そういう人間だとまずおさえるこ と。 お金や生活にかなりこだわりがある。自分より豊かな者に対してうらみ、 ねたみを持っている。 ・子どもに対しては、虐待である。いわゆるネグレクトである。なつかないのでな おさらである。 ・子どもの方が まだ話は通じる。子どもにこちらの価値判断を言う。わかる範囲 で。 ・児童委員と連絡をとる。たまたま近くにいたので学校に来ていただいて話し合う ・母親には、電話より手紙を書いて子どもに渡した方がよいであろう。 生の声を聞くと こちらが、おこってしまう。 手紙でこのままだと 学校として会う機会を持ちたい旨を書くと平日の新聞配達 をやめ、朝食を食べ、遅刻もなくなっていった。 権威的に出ると意外に弱いのかもしれない。 ・じかに会う場合でも、こちらが怒ったら、興奮したら駄目である。 落ち着いて今やっていることが いかによくないか説得する。こちらが正義ぶら ない。 いままでのせいかつ N しんぶんはいたつは、土、日、月やっている。ごはんは、たべたり たべなかった りしてる。でも きょうは ごはんをたべた。 じぶんが おもうことは しんぶんはいたつが つらいことと まえのパパとわか れるのが さびしいのと ごはんをたべないで がっこうへいくと おなかが すく ことがいちばん こころにおもっていること。 いままで やってきたことを もう一かい やりなおしたいとおもう。 だから これからは ごはんを たべてきたり しんぶんはいたつをてつだわないで よ る は ねていたい。あとまえのパパとわかれるときは、ちゃんとわかれたい。 (注:時々 前の父親と会って遊んでいるので、その時のこと。) L年末、年始は、父親の所ですごす。年があけて児童会館が、はじまる前日に母親 の所にもどってくる。その夜、一人で寝ていて急に恋しくなって家をでる。朝の 5時。タクシーをつかまえて乗るが 運転手は 変だと思い交番に連れて行く。 交番では以前のこともあるので自分の学校名を言わず、姉の学校名を言う。すぐ 姉の学校の教師がきて父親に連絡をとる。父親 迎えにきて引き取る。 その日の3時すぎ 父親がNを連れて児童会館にくる。そして帰る。 M3学期に入る。LのことについてNと話し合う。 N夜7時 給食費の督促で係の先生と自宅訪問(事前に手紙で知らせておいた。) 電気はついているが ノックしたり 声をあげても応答なし。 O夜6時半 家にかぎがかかっていて入れないということで学校にくる。すぐ学校 にかけつける。係の先生と二人で家を訪問。内縁の夫と母親と4人で話し合う。 給食費少しずつ払うようにする。が微々たるものであった。 P児童会館で3年の男の子とトラブルあったので二人よんで話をする。児童会館へ 行き館長とも話す。 Q3月 最後の職員会議で報告する。 二つの宝 10年振り3回目の1年担任であった。しかしまったくと言っていいほど子どもたち に言葉(思い)が伝わらなかった。一体なぜなんだろう。今までのやり方は、どうし たんだろう。自問自答が長く長く続いた。 1年、4月から彼の行動は、目についた。そしてこれまた長く彼との格闘が始まる のである。 そして1年たってようやく彼が、だいたいわかってきた。そして他の子も見えてき た。彼との出会いで少しは、個性、気質について知ることができた。 そして彼との授業では、今までとりくんできた歌とリズムが大きな役割を果たして くれた。彼は、この二つをとても喜んでくれたし、熱中した。この二つがなかったら どうしてただろうかと真っ青になってしまう。続けててよかったとつくづく思う。 クラスの他の子も段々と彼のことを理解してきた。ちがうことを犠牲にしてきたこ ともあった。10年前は、本当にスムーズにいっていたのか、信じられないが、1,2 年生に対しての視野を広げることができた。 論理で説得は、むずかしいということが実感として分かったのである。 2年2学期、少し展望が見えてきたが、やはり予断は許せない日々にちがいないこ とだけは、確かである。 (2002.8.26.) 「二つの宝」以後 そして1,2年を一つの区切りとして転勤した。現実は、そのように進んだ。研究 も音楽から教育相談に変わった。新しい学校では、また1年生になった。 それらは すべて必然のことだったのかもしれない。 結果的に言って前任校で体験した2年間のことが、現在非常に生きている。対応の 仕方にも慣れ、余裕が生まれてきた。同じ低学年だが、また違った集団ができてきた。 ここから、今から出発していくほかはない。 「二つの宝」とは、歌とリズムのことなのだが、この学級にいたKとNとの出会いが 現在の私を決定している。もしかするとこの二人が「二つの宝」なのではないかとい うことを新たに発見した。(2004.2.4.) |