2006年

・何故にこうなったのか後もどりできぬ個性のかたまり

・怒りを楽器と声に乗せ平和な日をいつか望む

・青春の片思いの淡き夢いまだそこに我はいるなり

・くらべると思いうかばぬ長所なりくらべることをやめる他なし

・まな板の快きリズムあり新婚の時のように妻を見る

・意志強く持て何事かなさざる時この世に足跡残すのなら

・いくつものドラマを束にしてしばる明日は新聞回収の日

・定年まで後何年と指をおり数えることが習いとなりぬ

 2006年12月

・休日前家に運ぶかばん二つ恐ろしいほど仕事の多さよ

・家に帰り仕事できぬほど疲れた日酒も飲めない体となりぬ

・休日の気の遠くなる仕事ありいつ倒れてもおかしくない

・朝やっと起き足取り重く学校への道ただただつらい情けない日々

・「先生」と親のいぬ子まとわりておんぶしたれば泣きやむなり

・子らのためよかれと思いは教師の弁罪つくりな自己弁護かな

・職員室に居ても一人職員会議でも一人

・ゴミぶくろ三つ棄て年末の一日はじまろうとしている

・子どもらのプレゼントもなしさびしきや今日は父の誕生日のはず

・窓の外雪は横向きに吹いている大晦日の朝一年の終わり

・すべてに遅れて気づく私の人生もはや後もどりはできぬけれど

・父親とは何か一人問う私の子らを見つめながら

・教師とは何者か喧噪の中問い直すクラスの現実を前にして

・いつの間にこうなってしまったのか私の子らよ父親の願いとは別に

・喧噪の教室の中我が子と思え反抗する子も憎しみが消え

・テストつけあまりの悪さに教え方を問う吾もまた点数を気にするとは