大震災、原発事故に寄せて |
東大社研の「希望学」(東京大学出版会)全4巻がある。第2巻「希望の再生」釜石の歴史と産業が語るもの、第3巻「希望をつなぐ」釜石からみた地域社会の未来となっていて釜石に何回も行き調査した労作だ。なんと皮肉なことではないか! 第4巻「希望のはじまり」流動化する世界での後書きにこう書かれてある。 『凄惨で過酷な現実は、希望の母でもある。過去や現在の悲惨な事実に正面から向き合うことなく、未来の希 望を語ることはできない。 Hope is a wish for something to come true by action. 希望とは、具体的な「何か(something)」を「行動(action.)」によって「実現(come true)」 しようとする「願望(wish)」である。希望は、その4つの柱によって成り立つ。「何か」 「実現」「行動」のヒントは、過去を思い起こすことのなかにこそみつかるのだ。』と。 まだ若い頃盛岡、角館、花巻、平泉、仙台を旅行したことがあった。東北の美しい風景だった。ニュースの映像からはもはや想像することはできない。 昨日、私も所属している東京民舞研の機関誌が届いた。釜石、石巻には「虎舞」という虎の格好をした有名な踊りがある。その道具もやられたらしいが伝承者は、無事ということ。また昨日の新聞には、避難先で鬼剣舞を踊る写真があった。こういう文化も希望となるであろう。 私の師、森有正が、その日記で「第3発目の核爆弾が人類の上に落ちるとしたらそれはまた日本の上に落ちるだろう。」というフランス人の話を聞いて驚愕しそして納得したということを書いてあったことを思い出している。 歌いたい歌がある。詩人岩田宏の訳で「はえあるキャンブリア」というウエールズ民謡。 「この国こそ 父、母の国 歌にうたわれた国/ この国こそ知恵と強さと美しい花の国/ この国の誇りと喜び 悲しみと闘いを/ 山の奥の泉よりも 澄んだ歌にうたおう」 |