中学時代
高校時代
予備校時代
教員時代  1978〜2001
2007まで
2008年以降


                    

     教員時代

   君の眼は
 君の眼は 美しいものが見えるか
 君の耳は 美しいものを聞けるか
 君の口からは 美しい声や言葉が 出ていくか
 君の足は しっかりと大地をふみしめているか
 君の心臓は いつも平静に脈うっているか
 君の眼は
                   1978.5.30.

                                 
   みんな どうもありがとう
 5年生になって ちがうクラスでも ちがう学校でも
 その場所で その先生と友だちで がんばろう
 君たちに言い残すことはない
 毎日の授業の中で 暮らしの中で 2年間 言ってきたから
 5年生になって もし機会があったら また一緒に何か やろう
 君たちの歌声を聞いていると チョッピリさびしくなる
 それは もうあの時は 絶対に帰ってこないからだ
 たくさんの おみやげを持って5年生になってくれ
 そして そこで精一杯がんばってくれ
 むずかしいことを避けて通らないように努力してほしい
 質問して かしこくなることだ
 その先生と友だちの いい所を見つけて好きになることだ
 自分から心に壁をつくり 心を閉ざしてしまわないように
 みんな一人一人への思いは それなりにある
 みんなは なんでもよくやったし よくがんばった
 先生にも よくついてきてくれた
 そのことが いつか 必ず何倍にもなって
 君たちのものに なるだろう
 くり返し続けることが 意味と新鮮さを持ち
 君たちのものになるだろう
 毎日が ただのくり返しではなく新しいくり返しなのだから
 そう考えると口ではなく からだが先に動いていくだろう
 後は くよくよしないことだ
 くよくよせず 明るく生きていくことだ
 さよならを何べん言ったってどうなるわけでもない
 2年間 つらい事もあったが 楽しい事もあった
 それらを すべてプラスの方向に
 みんなが成長していくように 先生もまた成長していきます
 みんな どうもありがとう さようなら      1981.3.21.


  わたしたちの日々
 わたしたちの日々が いつも明るく
 わたしたちの日々が
 いざこざや けんかや にくしみで
 終わらないように
 一人一人が 自分を出し合って
 そして やっぱり
 仲間と手を取り合いながら
 弱い人をだき起こし
 笑いと 知恵と
 勇気と やさしさと
 豊かさに満ちた
 わたしたちの日々であるように
 わたしたちの日々が少しずつ 少しずつ
 成長のしるしであるように
 毎日を 毎日を
 そして今を
 精いっぱい生きていこう            1981.10.6.
                



   わたしたちの日々2 
 はじめたばかりの御神楽に
 子どもたちは 少し とまどいを見せ
 だけど一生懸命に
 どんな御神楽になるか
 とても楽しみで
 新しく かわった委員会で
 ちょっぴり緊張して   
 そして責任を持って やる気十分な
 新しく かわった座席に
 ちょっぴり不満気な
 すきとおる青い秋の空の下で
 いつもボールを追って
 ボールを けって
 グラウンドをかけている
 サッカーが とても好きな
 新しくなる教室で
 かわっていく教室に
 今日も 息づいている
 子どもたち                1981.10.7.



   わたしたちの日々3
 はじめて石器を作った
 石と石をぶつけてかなづちでたたいて
 すると偶然 石器ができた
 それを研いで
 草を切って 稲を刈り取った
 実際に切れるなんて
 新しく わかったことだ
            
 グラウンドで踊った御神楽は よかった
 大切なことは 覚えるまでの間だ
 そうして自分自身の御神楽を踊ろう
 はちきれるばかりのエネルギーを
 しゃべりたい 動きまわりたいという欲求を
 まっすぐに まっすぐに            1981.10.9.



   わたしたちの日々4
 何日か御神楽と過ごした日々は
 少しの物足りなさを残して去り
 それが次のステップへ つながることを期待して
 「もっと踊りたい。もっとやりたい。」という
 みんなの言葉を大切にしながら
 僕らは もっとうまく これからの日々を
 過ごすことに気をつかうだろう
 順番を忘れるほど 踊りに熱中した君たちは
 何時間の練習を わずか5,6分に
 集中することに かけたのだ
 2回とも僕は 太鼓をたたきながら
 熱中していった
 2回目が しっくりいかなかったと感じたのなら
 それは僕の わだかまりのせいだろう
 「ソーレ ソーレ」の君たちの声
 太鼓の音 鈴の音 君たちの踊り
 笑い顔 はずかしそうな顔 
 伸びた素足 飛び上がった体
 ここまでの御神楽は
 今 君たちのものだ             1981.10.24.


          
   わたしたちの日々5
 一人一人が 知りたがり屋さんで
 聞きたがり屋さんで
 読みたがり屋さんで
 話したがり屋さんで
 書きたがり屋さんで
 生活や自然や生き物やいろんなことに
 興味と関心を持ち
 そして自分で実際ためしたり
 はずかしいとか こだわりや 人の眼を気にすることなく
 地位とか家とか お金とか服装とか
 持ち物とか点数とか男や女であるとか
 どこどこへ行っているとか 何を習っているとか
 そんなことで得意になったり 自慢したり
 そんなことで人を判断したり 差別するのではなく
 目標に対して 逃げるのではなく 立ち向かい
 物事のうまい人や できる人だけにまかせるのてせはなく
 自分の中にある あまえを断ち切り
 自分みずから挑戦し
 いろいろな考えやアイディアや ひらめきや
 感情や思った事を出し合い ぶっつけ
 もっといい方法や解決の糸口をさぐりあて
 それを みんなのものにして
 一人の落伍者を出さずに
 一人一人が 伸びていこうと決意した時
 学級全体が 伸びていくのだろう       
                      1981.11.27.


                             
   わたしたちの日々6
 一年間が過ぎる 
 わずかな時を惜しんで 
 真向い 見つめ合う時
 君たちの芽が やがて花咲くだろう
 みんなは もう一人ではない
 ますます鮮明に
 ますます叡智にとんだ
 ますます豊かなユーモアを持って
 君たちの花は 咲くだろう
 春の息吹と共に
 この大地に雄々しく立て
 さようなら冬よ              1982.3.5.



   わたしたちの日々7
 今 僕は ここにいる
 長い間 生きてきたような気もするし
 希望に燃えている少年のような気もする
 確かに言えることは何か
 僕は ここにいることだ
 今年一年 また様々に勉強させてもらった
 去年とは 違う思いを持って
 一つ年を重ねることができる
 年を重ねることが 恥を重ねるのではなく
 確固なものとしてありたいと願う
 たくさんのことを学ばせてもらった
 助けてもらった子どもたちに
 心から「ありがとう」と言いたい 
 お互いよき道をめざして 努力していきたいと思う
                        
 春の日中のなかで こうしていることが    
 なんて すばらしいことか
 やせがまんが強いから
 心を開いていきたいと思う
 春の日中のなかで
 僕たちは 今 ここにいる
 春の日中のなかで             1982.3.24.


  あの時の空の青さをいつも
 今でも思い出す
 頂上についた時 空の青さや見晴らしを
 万計沼 まみす沼の紅葉
 山小屋 万計荘 
 階段のきしむ音
 夜見た星空 明け方の寒さを
 みんなして食べた食事の様子
 見知らぬ人から もらったトウモロコシ
 ねる時 笑ったっけ
 もくもくと登った山道 万計沼を一周し 山小屋が小さく見えた
 手をふって別れた
 あの日 あの時 1982年10月10日 空沼岳 忘れない  1982.11.8.


   無題
 喜びと悲しみが一つになって
 一人一人のみんなの顔が うかんでくる
 別れるとは どういうことなのだろう
 新しく生きるとは
                           1983.2.26.


   運動会に寄せる
 子どもが走る ころんでも走る
 最後まで走る 真剣な顔して走る
 どうしてあんなに真剣になれるのだろう
 自分が忘れていたものを 思い出させてくれる
 子どもが球を投げる
 子どもが戦う
 子どもが走っていく 歩いていく
 笑いながら むすっとしながら 心配そうに
 去年 近くで見ていたことが 今年は 遠くで見る
 違った光景が映る
 見えなかったものが見えてくる
 子どもが応援する 必死に応援する
 人のことに一生懸命になれる
 やがて運動会も終わり 白線が消えていく
 元のグラウンドにもどる
 見えていたものが見えなくなり
 見えなかったものが見えてくる
 走れ走れ どこまでも
 走れ走れ もっと速く
 走れ走れ 疾風のように             1983.6.9.


   風の中の日々
 風が吹いている
 ポプラの木に
 校庭に 校舎に
 わたしたちの風の中の日々
 わたしたちは育つ
 ひとが人間になるために
                
 人間が仲間と生きるために
 汗と涙だけでなく
 情熱と理性を共に生きるものの証しとして
 子どもの中を吹きぬける風になり
 よりそいながら
 わたしたちの風の中の日々に
 永遠の未来を見つづけたい            1984.4.10.



   勇気もて人の心を
 広がりゆく勇気もて
 今がつらかったら 今が苦しかったら
 人間が人間に伝え合う勇気もて
 あの時こうすればよかった
 あの時こう言えばよかった
 ではなく
 口びるが ふるえても
 心臓が ドキドキなっても
 声が かすれてきても
 今が〈今〉であるために
 話してみよう しゃべってみよう
 過去の歴史に自分をおき
 未来を見据え 現在を生きるために
 勇気もて
 後で悔やまないためにも
 ギリギリの線に立ってでも
 汗をかいてでも
 人の心を動かす勇気もて
 広がりゆく勇気もて
 勇気もて人の心を                1985.4.12.


                
   勇気もて人の心を2
 川 勢いあふれる白い波
 風 土のにおい
 山 遠くに見える残雪の頂
 草原に続く道と人
 鉄橋をわたる汽車
 サイクリングで見たもの             1985.5.2.



   勇気もて人の心を3
 遠足が終わり
 運動会も終わってしまった
 今は 6月
 いろいろなことをやりながら
 時が過ぎ去り そして
 お互いがお互いを知り合っていく
 それぞれの いいところも わるいところも
 それらが すべて一つ一つの美しい花になるように
 お互いがお互いに努力しよう           1985.6.5.



   勇気もて人の心を4
 上とか下とかではなく
 お互いが 同じ場にいること
 自分のやっていること 言っていることが絶対正しいと思ったとたん
 まわりのやっていること 言っていることが見えなくなってしまう
 相手の意見を聞いてみる 嫌な奴だと思っている相手でも
 聞いていると なかなかいいこと言っているじゃないか
 違う目で相手を見てみる
 先生も生徒も同じものを学ぶ者として そこにいる
 それを忘れては いけない
                  
 ヒトが人間となるために 底に流れる真摯な努力
 何も一番でなくてよい 一番速くなくてよい
 自分を見失わないためにも            1985.7.23.



   勇気もて人の心を5
 自分を持とう
 自分の道は 自分で切り拓き
 決定するのだ
 いつも誰かの後を追うのではなく
 これが私だと
 しっかり思えるように
 落ち着きと考えを持ち
 いつもウロウロするのではなく
 いつもチョロチョロするのではなく             
 コソコソするのではなく
 自覚を持ちながら
 今をそして未来を
 精いっぱい生きていこう             1985.12.24.



   春
 山の雪が とけはじめ
 福寿草の花が 顔を出す
 みんなで 探しに行った
 裏のあの山
 こぶしの花も咲いていた
 まぶしくて
 今は 帰る すべもない
 春の春の一日

                         1986.4.28.


  私たちに真の連帯とつながりを
 私たちは 二年間
 ただ同じ教室にいた
 ということだけではないだろう
 いろいろなことを話し 実行し 実現してきた
 それら一つ一つが 目にうかぶかい?
 「奈々子」の詩を学習した時
 たくさんの意見が でたね
 その詩の一節
   ひとが/ひとでなくなるのは
   自分を愛することをやめるときだ
   自分を愛することをやめるとき
   ひとは/他人を愛することをやめ
   世界を見失ってしまう
   自分があるとき
   他人があり
   世界がある
 自明なことだが
 自分というものは この世に一人しかいない
 そのことに気がつき
 自分一回きりの人生を生きぬくこと
 それは個人主義の愛ではなくて
 他者と共になのである
 ひとりで苦しまないで
 自暴自棄にならないで
 その時
 きっと誰かがいるはず
 そして私たちは
 その誰かになれるはず
                  
 非常に難しいことだけど
 私の永遠の課題
 自我を解き放し
 個人主義から ぬけだして
 自分のためだけではなく
 共に
 人類とつながることを
 人間の歴史とつながることを
 私たちは 二年間
 ただ同じ教室にいた
 ということだけではないだろう
 いろいろなことを
 話し
 実行し
 実現してきた
 それら一つ一つが
 目に うかぶかい?               1998年



   卒業する君たちへ
 卒業 この言い知れぬ ひびき
 卒業とは 出発も意味している
 悟空のように
 これからどんな人に出会い
 どんな冒険が待っているのだろう
 とても楽しみでもある
 君の人生が
 君だけに期待していることが きっとあるはず
 それを見つけてください
                       
 言葉には 力がある
 人を陽気にさせる 悲しくさせる
 人を励ます 傷つかせる
 人を明るくさせる 暗くさせる
 人をまどわせる なごませる
 言葉の足りなさや言い方によって
 誤解が 生まれる
 誤解が人に伝わって 
 また大きな誤解が生まれる
 しかし君たち
 人から聞いただけでは 半分だ
 自分の目と耳で
 本当のこと 真実を確かめてもらいたい
 完全な人間なんて いない
 その誤解を解きほぐしていく努力を
 忘れないこと

 あきらめと希望
 あきらめからは 何も生まれない
 どんな時も希望を捨てないでください
 希望を組織すること
 君の人生が
 君だけに期待していることが
 きっと あるはず
 それを見つけてください
                         2001年